ジェイ・スペック
J-SPEC

MANHATTAN, NY
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 マンハッタン・イーストビレッジに、お肉の新名所「J-SPEC」が誕生した。キーポイントの食材は「和牛」。本当に美味しい和牛を、リーズナブルな価格で楽しんでもらう、そんな店を目指している。「アメリカでの和牛の認識のされ方やその普及率を見ていると、がっかりさせられることがあります。和牛が単なる集客のネタとして扱われ、不当に高い値段で提供されているのです。私たちは、最高の和牛をリーズナブルな価格で召し上がって頂きたいのです」とJ-SPECジェネラル・マネージャーの酒井 純平さんは、その熱い想いを語る。

 取り扱うのは、和牛と和州牛(アメリカ育ちの和牛)の2種類のみ。USDAプライムを提供することは基本的にはない。この2種を色々なスタイルで食べ比べてもらいたいと酒井さんは考える。「目の前の大きな鉄板で肉を焼いたり、カウンターで肉寿司にしてお出しするなど、構想は色々と持っています。でも、あまり一般的ではない部位や、知らないだけで実はとても美味しい部位も積極的にご紹介していきたい。宮崎牛を中心に、飛騨牛や尾崎牛など各種和牛もスポットで仕入れていきますので、こうした和牛の味の違いもご堪能ください」。

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 オープンしたのはコロナ禍の昨年11月。極寒の冬へと向かう中のことだった。しばらくは、テイクアウトやアウトサイドダイニングで対応する覚悟はしていたが、J-SPECをオープンしようという気持ちを後押ししたのもコロナだった。レストランが次々と閉店する中、ビルのオーナが破格のディールを提示し、このチャンスを逃さずに掴もうと一歩を踏み出した。

 J-SPECジェネラル・マネージャーの酒井さんは、日本の有名焼肉チェーンUS事業の立ち上げのためにニューヨークへ渡った。焼肉事業をうまく軌道に乗せ、次のステップの場として選び、転職したのがトモエフーズだった。同社は2014年以来、アメリカ国内の飲食店へ食肉を卸すディストリビューターとして展開しているが、その過程で、和牛を知り抜くトモエフーズと、和牛の魅力を最大限に活かして提供できる酒井さん、2人のプロが組めば新しい展開へと繋がるとレストラン事業を立ち上げた。J-SPECの他にも、ミッドタウンに「Marezzata」をオープン、そしてもう一店舗についてもすでに契約済みと、着々とプランが進められている。

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 「アメリカ人に知っている部位をあげて下さいと聞くと、リブアイ、ストリップロイン、テンダーロイン、フィレノと、その次が続きません。一頭の和牛から取れるサーロイン、ヒレの量は限られ、そこだけを取ってしまうと残りの余った部位はミンチ肉となってしまうことが多いのです。でも、余っている=美味しくないではなく、ミスジ、ザブトン、シンタマ、イチボなど、その特徴や調理法をしっかり学ぶことで、とても美味しい希少部位がたくさんあるのです」。

 レストランオーナーやシェフは、使い方の分からない部位など仕入れたくはない。高価なイメージのある和牛であればなおさら。そして、レストランに知識がなければ、当然顧客にもその魅力が伝わるはずもない。こうした希少部位を美味しく食べる切り方や、調理法をアドバイスする、和牛の教育「コンサルテーション事業」も、和牛を扱うプロとしては避けられないと酒井さんは言う。トモエフーズでは、各レストランにアドバイスをしながら、フロリダ州マイアミとニューヨークのハンツポイントの加工場で仕入れた食肉を、それぞれのレストランが扱いやすいように加工して納品する体制も整えていく。

 「他の有名ステーキハウスと比べ、J-SPECでは3分の1以下の価格で和牛をご提供できます。日本人でも和牛を食べる機会はそれほど多くないと思いますが、皆さんに和牛と和州牛の違いを知識としてだけでなく、食べ比べをしながら感じて頂きたい。そして、どこかで和牛を買ってきたお客様が肉塊片手に美味しい焼き方を聞きに気軽に立ち寄ってくれるような、そんな地域に根差したフレンドリーなダイニングでありたい。常連客がカウンターで、毎日のように和牛への熱い議論を交わしてる───そんな風景を思い描いています」。


J-SPEC $$$$
Address:239 East 5th Street, New York NY 10003
TEL:212-287-0107
WEB:https://www.jspec-ny.com/
Mon   Closed
Tues-Sun 12:00〜15:30(Lunch)/17:00 〜21:00(Dinner)

《企業概況ニュース》2021年 03月号掲載

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