マティーニーズ
Martiny’s

MANHATTAN, NY

ニューヨークの夜を
ラグジュアリーに彩るクラフトカクテルバー

Martiny’s
共同オーナー・ビバレッジディレクター 渡邉 琢磨 さん

 2022年4月半ば、ニューヨークのバーシーンに新たに一軒のバーが加わった。並木道に沿って高級アパートや洒落たレストランが並ぶマンハッタン・グラマシーにオープンした「Martiny’s(マティーニーズ)」。ニューヨークの名門カクテルバー「エンジェルズ・シェア」で5代目ヘッドバーテンダーを務めた渡邉琢磨さんによる初のソロプロジェクトとして注目を集め、ニューヨーカーだけでなく州外から足を運ぶ人も多い。

 「カクテルを作り接客していることが好きで、元々独立には全く興味がありませんでした。でも、次の世代の存在とパンデミックが、ここで立ち止まっていてはいけないのではないか、と自分を奮い立たせました」と渡邉さんは語る。

東京生まれ、父親が帝国ホテルのホテルマンで、幼い頃から日本のおもてなしを身近で見てきたこともあって、ホスピタリティ業界に関心があった。18歳でバリスタからドリンクの世界に入り、バーテンダーへ転向。ワールドクラス・カクテルコンペティションで日本トップ10に入ったことで世界がぐんと近くなった。そんな時、エンジェルズ・シェア4代目ヘッドバーテンダーの後閑信吾さんが日本で開催したセミナーに参加し、海外への興味を伝えると、「とにかく航空券買って来てみたら」と一言。それから半年後、渡邉さんはニューヨークの地に降り立った。「勢いで動かないと出来ないことってありますよね」と10年前を振り返って渡邉さんは笑う。

メニューには10種類のカクテルが並ぶ。シグネチャーの「Grand Martiny’s」は、エンジェルズ・シェア時代からずっと作り続けてきたオリジナルカクテル「Peel Me a Grape」をアレンジし、ジン、シェリー酒、花のリキュールにポートワインとブランデーでブドウ感をアップしエレガントにしたもの。夏に向けた新しいメニューでは、ゆず、ハーブとカクテル用麦焼酎「いいちこ彩天」を合わせた爽やかな焼酎カクテルもラインナップする。

渡邉さんの作るクラフトカクテルには二人の偉大なバーテンダーの影響がある。1人は来米まで勤めていたXEX東京時代の師匠、日本のミクソロジーカクテルの先駆者として有名な南雲主于三さん。もう一人は後閑さんだ。「南雲さんから旬のフルーツや食材を使うミクソロジーを学び、後閑さんからユニークなアイデア、美味しさを突き詰めて極めるテクニックを学びました。二人の師匠を常にリスペクトし、彼らから学んだものに、自分のひらめきを載せて自分なりの味にできたらと思っています」。

◇◇◇

 レンガ造りの趣ある建物は、150年前に馬車小屋として建てられたもの。その後、ワシントン・スクエアパークに建つ大きなアーチに彫刻を施した彫刻家フィリップ・マティーニがアートスタジオとして使っていたという。彼の名「Martiny」と、渡邉さんの得意とするクラシックカクテル「Martini」をかけ、店の名を「Martiny’s」に、エンブレムには馬蹄を採用した。リノベーションされた店内はヴィンテージのインテリアでコーディネートされ、優しい光の差し込む落ち着いた空間となっている。

カウンターに立つ渡邉さんの柔らかな笑顔、おしぼりで始まる日本のおもてなしの心、心地よいシェイカーの音、色とりどりの宝石のようなカクテル、同じ空間に居合わせた人たちとの語らい───マティーニーズにはニューヨークの夜を彩る魅力が詰まっている。

 ベースをテキーラから麦焼酎いいちこ彩天に替えた「Melon salado」。好みやリクエストに柔軟に応じてくれる。

マティーニーズ Martiny’s
Address:121 E 17th St, New York, NY 10003
TEL:(212) 243-3007

Instagram: https://www.instagram.com/martinysnyc/

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